40代でこれからが不安になったとき|まだ決まっていない未来とどう向き合う?
昼間は、いつもどおり仕事をしていた。
夕食を済ませ、明日の予定も確認した。特別に困ったことが起きているわけではない。
それなのに、布団に入って部屋が静かになると、
「この仕事をいつまで続けられるんだろう」
「親に介護が必要になったら?」
「老後のお金は足りるのかな」
「もし自分が病気になったら」
と、昼間には考えていなかったことが次々に浮かんでくる。
一つ考えると、その先にまた別の心配が出てきて、気がつけば10年後、20年後のことまで考えている。
そして最後には、
「私、何も準備できていない気がする」
と不安になる。
40代になると必ず将来が不安になる、というわけではありません。
けれど、今の生活だけでなく、その先の仕事、お金、親、住まい、健康などが気になり始めることはあります。
そんなとき、「考えても仕方がない」と気持ちを止めようとしても、心配は簡単には消えてくれないでしょう。
かといって、未来に起こるかもしれないことを、今夜のうちに全部解決することもできません。
そこで今回は、
「もう分かっていること」
「まだ決まっていないこと」
「今できること」
に少しずつ分けながら、これからへの不安を考えてみます。
- 「将来が不安」の中には、いくつもの心配が混ざっている
- 「もう分かっていること」と「まだ決まっていないこと」を分けてみる
- 「分からない」を、先に「悪くなる」にしなくていい
- お金の不安は、「老後にいくら必要?」だけから始めなくていい
- 年金も、「何となく不安」のままにせず現在の情報を確認できる
- お金のことを一人で考え続けなくてもいい
- 仕事の未来を、今すべて決めなくてもいい
- 親の将来が心配でも、「自分が全部介護する」とはまだ決まっていない
- 健康への不安も、「将来の病気」をすべて予想することはできない
- 調べれば分かる不安と、調べても今は答えが出ない不安がある
- 「今できること」は、人生を大きく変えることでなくていい
- 「今は決めない」という選択もある
- 不安が残っていても、整理できることはある
- 泉の「これからの不安」メモ
- まとめ|未来を全部決めるのではなく、今日分かることへ戻る
- 参考情報
「将来が不安」の中には、いくつもの心配が混ざっている
「将来が不安」
そう思ったとき、その中身は一つとは限りません。
仕事を続けられるか。
収入はどうなるか。
今の住まいでよいのか。
親に介護が必要になったらどうするか。
自分の健康はどうなるか。
老後に一人にならないか。
いくつもの心配が「将来」という一つの言葉の中に集まると、とても大きな問題のように感じられます。
そこで、最初から、
「結局、何が一番不安なの?」
と一つに決めなくても構いません。
代わりに、
「今日は、何について考えていた?」
くらいから始めてみます。
昨夜は老後のお金。
今日は親のこと。
仕事で嫌なことがあった日は、この先の働き方。
不安にも、その日ごとに少し違う入口があります。
全部まとめて「私の人生が不安」としてしまうより、一つずつ名前を付けたほうが考えやすくなることがあります。
「もう分かっていること」と「まだ決まっていないこと」を分けてみる
未来について考えていると、
起こる可能性のあることが、もう決まった未来のように感じられる
ことがあります。
たとえば、
「親が年を取る」
ことと、
「自分が仕事を辞め、一人で親の介護をする」
ことは同じではありません。
親の年齢は分かっています。
今の健康状態も、ある程度は分かるでしょう。
でも、いつ介護が必要になるのか。どの程度の支援が必要になるのか。誰が何を担うのか。どんなサービスを利用するのかは、まだ決まっていない場合があります。
仕事も同じです。
「今の会社には定年がある」
ことと、
「将来、自分は仕事を失い生活できなくなる」
ことの間には、かなり距離があります。
老後のお金についても、
「将来の生活費が今は正確に分からない」
ことと、
「老後は必ずお金に困る」
ことは別です。
不安になっていると、この間が縮まって見えることがあります。
そんなときは、
「これは今すでに起きていること?」
「それとも、これから起きるかもしれないこと?」
と一度分けてみます。
未来を楽観するためではありません。
まだ決まっていないことを、今の段階で悪い結果に確定しないためです。
「分からない」を、先に「悪くなる」にしなくていい
未来について分からないことは、たくさんあります。
10年後も今の会社にいるか。
今の住まいに住んでいるか。
親の生活がどうなっているか。
自分自身の体調はどうか。
どれも、今の時点で完全には分かりません。
そして、分からないことは不安を生みやすいものです。
だから、
「分からないなら、きっと悪くなる」
と先回りして考えてしまうことがあります。
でも、
「10年後も今の仕事をしているか分からない」
という事実から、
「10年後には仕事がなくなっている」
とはまだ言えません。
反対に、
「きっと大丈夫」
と言い切ることもできないでしょう。
未来は、良くなると決まっているわけでも、悪くなると決まっているわけでもありません。
まだ分からないことは、「まだ分からない」ところに置いておく。
それだけでも、不安と事実を少し離して考えやすくなります。
お金の不安は、「老後にいくら必要?」だけから始めなくていい
将来のお金を考えると、
「老後資金はいくら必要なの?」
と検索したくなることがあります。
大きな金額を目にすると、
「全然足りない」
と不安になることもあるでしょう。
けれど、将来必要になるお金は、全員同じではありません。
金融庁も、ライフスタイルが人によって異なるように、お金が必要になるタイミングや金額もそれぞれ異なるという前提で、家計管理や生活設計を考えることを案内しています。
そこで、遠い将来の大きな数字だけを見る前に、
今の収入はいくらか。
毎月どのくらい使っているか。
現在の貯蓄はどの程度か。
住まいにどのくらい費用がかかっているか。
現在の年金記録はどうなっているか。
といった、今確認できることから見ていきます。
将来必要な金額を完璧に計算するためではありません。
「分からないお金」を全部想像する前に、「今分かるお金」を確かめるためです。
年金も、「何となく不安」のままにせず現在の情報を確認できる
年金について、
「自分はいくらもらえるんだろう」
と気になっている人もいるでしょう。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、将来の年金見込額を試算できます。
現在と同じ条件で60歳まで年金制度へ加入し続けると仮定する「かんたん試算」のほか、今後の働き方や受給開始年齢などを自分で設定する試算方法も用意されています。
もちろん、そこで表示された金額を「将来必ずこの額になる」と考えるものではありません。
将来の働き方などが変われば、前提も変わります。
それでも、
「きっとほとんどもらえないのでは」
と想像だけを続けるより、現時点の条件ではどの程度になるのかを一度確認することはできます。
未来を確定させるためではなく、今ある情報を増やすための確認です。
お金のことを一人で考え続けなくてもいい
現在の収入や支出を見ても、
「これで十分なのか分からない」
ということもあります。
家計をどう見ればよいのか。
老後まで何を考えればよいのか。
住宅費や保険を含めてどう整理したらよいのか。
分からないまま検索を続けているうちに、別の情報が次々に出てきて、かえって迷うこともあるでしょう。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)では、家計管理や生活設計、年金、住宅・不動産、資産形成など、お金について相談できるサービスを提供しています。
対面・オンラインによる無料体験や、予約不要の電話相談があり、個別の金融商品の勧誘は行わないと案内されています。
ここで重要なのは、
「将来が不安だから、すぐ投資を始めなければ」
ということではありません。
まず自分の家計や今後の生活について整理し、
何を考えればよいのか分からない部分を第三者と確認する
方法もある、ということです。
不安と金融商品の選択は、一度分けて考えたほうが落ち着いて判断しやすくなります。
仕事の未来を、今すべて決めなくてもいい
「この会社で、このままあと何年働くんだろう」
ふと考えることがあります。
そこから、
「50代になって転職できる?」
「定年後は?」
「収入が下がったら?」
と、かなり先まで考えてしまう。
でも、今の時点で10年後、20年後の働き方をすべて決める必要はありません。
数年後には会社の状況も変わるかもしれません。
自分が仕事に求めるものも変わる可能性があります。
だから、
「60歳までこの会社で働くか」
という大きな問いではなく、
「次の一年、この働き方を続けたい?」
くらいまで時間を近づけてみる方法があります。
今の仕事で減らしたい負担はあるか。
身につけておきたいことはあるか。
少し調べてみたい働き方はあるか。
今は特に変えず、このまま続けたいのか。
そこまでなら考えられることがあります。
未来の職業を決めることと、今の仕事について一つ考えることは同じではありません。
このままのキャリアそのものに迷っている場合は、働く時間、収入、安定、やりがい、生活とのバランスなどを分けて考えると、さらに整理しやすくなるでしょう。
親の将来が心配でも、「自分が全部介護する」とはまだ決まっていない
親が年齢を重ねる姿を見ると、
「もし介護が必要になったら」
と考えることがあります。
特に、自分が親の近くに住んでいる。
きょうだいより頼られることが多い。
義両親についても、夫婦の中で自分のほうが細かな対応をしている。
そんな状況なら、
「結局、私が全部やることになるのかな」
と思うかもしれません。
でも、現在親が元気なのであれば、
介護がいつ始まるのか。
どの程度の支援が必要になるのか。
誰が何を担うのか。
どの介護サービスを利用するのか。
まだ決まっていないことが多くあります。
今できることの一つは、相談先があることを知っておくことです。
地域包括支援センターは、すべての市町村に設置されている介護の総合相談窓口です。
介護について何から始めればよいか分からない場合には、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどへ相談できます。
今から介護計画を完成させる必要はありません。
「もし必要になったら、ここへ相談できる」
と知っているだけでも、すべてを自分一人で想像する状態から少し離れられます。
健康への不安も、「将来の病気」をすべて予想することはできない
年齢を重ねるにつれて、自分の健康が気になることもあります。
「もし大きな病気になったら」
「働けなくなったら」
と考え始めると、不安はいくらでも広がります。
けれど、これから起こる病気をすべて予測することはできません。
今治療していることがあれば必要な医療を受ける。
現在できる健康管理を続ける。
気になる症状があれば医療機関へ相談する。
そうした今の対応と、
「将来、何か大きな病気になるかもしれない」
という予想は分けて考えることができます。
また、将来への不安が続き、
夜になってもなかなか眠れない。
食事が取れない。
仕事や家事など、普段の生活にも大きな影響が出ている。
という場合には、「心配性だから」と一人で片づけなくても構いません。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSなど複数の相談方法が案内されています。
必要に応じて医療機関へ相談することも選択肢です。
不安の原因を完全に説明できてから相談する必要はありません。
調べれば分かる不安と、調べても今は答えが出ない不安がある
将来が気になると、インターネットで検索を続けることがあります。
「40代 老後資金」
「親 介護 いつから」
「50代 転職」
「老後 一人暮らし」
一つ調べると、また別の気になる言葉が出てくる。
情報を集めているはずなのに、だんだん不安が大きくなっているように感じることもあるでしょう。
検索すること自体が悪いわけではありません。
知ることで準備できることもあります。
ただ、不安には二つの種類があります。
一つは、
情報が足りないから分からないこと。
年金の現在の記録。
利用できる制度。
介護の相談先。
こうしたものは調べられます。
もう一つは、
まだ未来そのものが決まっていないから分からないこと。
親にいつ介護が必要になるか。
10年後どんな仕事をしているか。
将来、自分が幸せだと感じているか。
こうしたことは、検索を続けても今は確定できません。
不安になったとき、
「これは調べれば分かること?」
「それとも、まだ誰にも答えが分からないこと?」
と分けてみる。
調べられることなら調べる。
まだ決まっていないことなら、今日はそこで検索を止めておく。
そんな区切り方もあります。
「今できること」は、人生を大きく変えることでなくていい
将来が不安になると、
「何か始めなければ」
という焦りが出てきます。
資格を取る。
転職する。
投資を始める。
家を買う。
親の介護計画を作る。
大きな行動ばかり思い浮かぶかもしれません。
でも、今できることはもっと小さくても構いません。
年金記録を一度確認する。
先月の支出を見てみる。
親が住んでいる地域の地域包括支援センターを調べておく。
気になっている働き方について一つだけ情報を見る。
将来について話せそうな人を思い浮かべる。
これらで未来が決まるわけではありません。
それでも、
「何もできていない」
という状態から、
「一つだけ確認した」
という状態には変わります。
未来全部に備えることではなく、今日確かめられることを一つ確かめる。
それくらいで十分な夜もあります。
「今は決めない」という選択もある
将来について考えていると、
「結論を出さないと前へ進めない」
ように感じることがあります。
でも、
情報がまだ足りない。
状況がまだ変わっていない。
今決める必要がない。
ということもあります。
たとえば、
「親が介護になったら仕事を辞めるか」
を、親が元気な今すぐ決めなくても構いません。
「10年後もこの会社にいるか」
も、今夜答えを出さなくてよいでしょう。
「この先ずっと今の家に住むか」
も同じです。
そんなときは、
「今は決めない」
と決める方法があります。
何となく先延ばしにするのではなく、
「今は材料が足りないから、来年また考える」
「親の状態が変わったら、そのとき相談する」
というように、考え直す時期や条件を置いておくこともできます。
決めないことは、必ずしも逃げることではありません。
まだ決める時期ではないものを、未来に残しておくことでもあります。
不安が残っていても、整理できることはある
年金を確認した。
家計も見直した。
介護の相談先も知った。
それでも、
「やっぱり将来は少し不安」
と思うかもしれません。
それはおかしなことではありません。
未来そのものが不確かな以上、すべて調べれば不安がゼロになるとは限らないからです。
今回の目的も、不安を完全になくすことではありません。
「何が何だか分からないけれど怖い」
という状態から、
「これは今調べられる」
「これは相談できる」
「これはまだ誰にも分からない」
と少し分けられる状態へ移ることです。
不安が残っていても、
その不安に全部を支配されず、今日の生活へ戻れるところまで整理できればよい
と考えてみてください。
泉の「これからの不安」メモ
未来を診断するための質問ではありません。
いろいろな不安が重なったとき、自分が今どこまで考えればよいかを整理するために使ってみてください。
- 今、いちばん気になっている未来のことは何?
- その中で、すでに分かっている事実は何?
- 反対に、まだ誰にも分からないことは何?
- 「起こるかもしれない」を「きっと起こる」にしていない?
- 調べれば分かることはある?
- 今日できる小さなことは一つある?
- 今はまだ決めなくてもよいことは何?
- 未来への不安をいったん横に置いたら、今の暮らしで何を大切にしたい?
全部に答えなくても構いません。
「老後全部が不安なのではなく、今の年金額を知らないことが気になっていた」
「親の介護が始まることより、自分一人で背負うと思い込んでいたことが怖かった」
と一つ見えてくるだけでも、将来という大きな塊は少し小さくなります。
まとめ|未来を全部決めるのではなく、今日分かることへ戻る
将来のお金が気になる。
今の仕事をいつまで続けられるか不安。
親が年齢を重ねることも心配。
自分自身の健康や住まいについても考える。
どれも、生活に関わることです。
「そんな先のことまで心配しなくていい」と簡単に片づけられるものではありません。
だからこそ、未来全部を一度に考えないようにします。
もう分かっていること。
まだ決まっていないこと。
今できること。
この三つに少しずつ分けてみる。
調べられるものは調べる。
一人では整理しにくいものは相談する。
まだ誰にも分からないことは、今は分からないまま置いておく。
今決めなくてよいことなら、決めない。
未来について考えることと、未来を今すべて確定させることは同じではありません。
「この先、私はどうなる?」
という問いが大きすぎる夜には、
「今日の私は、何を確かめられる?」
まで問いを近づけてみる。
そして、一つ確かめたあとには、
「そのうえで、私は今の暮らしで何を大切にしたい?」
と考えてみる。
未来の答えがまだ決まっていなくても、今日の暮らしまで止める必要はありません。
分からないものを分からないまま残しながら、その時々で考え直していく。
それも、まだ決まっていない未来と付き合っていく方法の一つです。
参考情報
確認日:2026年9月13日
内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和8年版」
ライフステージに応じて希望する働き方を選択できる社会、多様な豊かさ、仕事と介護の両立などに関する現行の考え方・施策を確認。
URL:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r08/zentai/index.html
金融庁「資産形成の基本|NISA特設ウェブサイト」
家計管理・ライフプランニングについて、お金が必要になる時期や金額はライフスタイルによって異なるという基本的な考え方を確認。
URL:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/
日本年金機構「『ねんきんネット』による年金見込額試算」
現在と同じ加入条件を前提とする「かんたん試算」、今後の働き方や受給開始年齢等を設定できる詳細な年金見込額試算の現行情報を確認。
URL:https://www.nenkin.go.jp/denshibenri_kojin/n_net/introduction/estimatedamount.html
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「はじめてのマネープラン」
家計管理、生活設計、年金、住宅・不動産、資産形成等について利用できる無料の個別相談・電話相談と、金融商品の勧誘を行わないことを確認。
URL:https://www.j-flec.go.jp/feature/consult/
厚生労働省「家族介護に直面している方への支援を知りたい」
地域包括支援センターが全ての市町村に設置されている介護の総合相談窓口であること等を確認。
URL:https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/family-care/
厚生労働省「まもろうよ こころ」
悩みや不安が強い場合に利用できる電話・SNS等の相談窓口や支援情報を確認。
URL:https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

