週末は義実家へ行く予定になっている。

手土産を考えて、義母から届いたメッセージへ返信する。何時に着くかを確認し、必要なら持っていくものも準備する。

ふと隣を見ると、配偶者はいつもどおり過ごしている。

そのとき、

「どうして私ばかり、こんなに気を使っているんだろう」

と思うことがあります。

義家族を嫌いなわけではない。親切にしてもらったこともあるし、できれば穏やかな関係でいたい。それでも、帰省のたびに疲れる。連絡が来ると少し身構える。家族行事や贈り物について考える役が、いつの間にか自分になっている。

さらに義両親が年齢を重ねてくると、

「介護が必要になったら、私がやることになるのかな」

という不安まで浮かぶかもしれません。

義家族との付き合いは、「仲良くするか、距離を置くか」だけではありません。

帰省の回数を変える。滞在時間を短くする。連絡の窓口を配偶者へ戻す。贈り物や家族行事の準備を分担する。

そして、義家族との関係だけではなく、その関係を夫婦・パートナーの間で誰が支えているのかも考えてみる必要があります。

義家族との付き合いに疲れても、「うまくやれない自分」を責めなくていい

結婚すると、相手の家族ともできるだけ良い関係を築きたいと思うことがあります。

義両親から親切にしてもらった。

子どものことを気にかけてもらっている。

食事や旅行へ誘ってもらった。

そんな経験があれば、なおさら、

「少しくらい疲れても付き合ったほうがいいのかな」

と思いやすいでしょう。

でも、感謝していることと、付き合いに疲れていることは同時に存在できます。

義家族を嫌っていなくても、長時間一緒にいることには疲れる。

ありがたいと思っていても、頻繁な連絡は負担になる。

家族行事に参加したい気持ちはあっても、毎回すべての準備を引き受けることには無理がある。

どちらか一方だけが本当の気持ちというわけではありません。

「家族になったのだから、実の家族と同じように付き合わなければ」と考えすぎず、今の自分にとってどのくらいの近さなら続けられるのかを考えてみてもよいでしょう。

「義家族がしんどい」を一つにせず、何に疲れているのか見てみる

義家族との付き合いがつらくなると、

「義母が苦手」

「義実家へ行きたくない」

と大きな言葉でまとめたくなることがあります。

けれど、負担になっている部分を少し分けてみると、見え方が変わる場合があります。

義実家へ行くこと自体が嫌なのではなく、毎回泊まることが疲れる。

義母と話すことは平気でも、仕事や夫婦のことまで細かく聞かれるのがつらい。

贈り物をすることには抵抗がないけれど、誕生日や母の日、父の日、季節の贈り物をすべて自分一人が覚えて準備していることに疲れている。

あるいは、義家族そのものよりも、

「どうして配偶者は、自分の家族のことなのに何もしないんだろう」

という気持ちのほうが大きいかもしれません。

義家族への不満と、夫婦の役割分担への不満は同じではありません。

「誰が悪いのか」を決める前に、自分がどの部分でいちばん消耗しているのかを見てみると、変えられそうなところが少し見えてきます。

「嫁だから」「妻だから」を、義家族対応の理由にしなくていい

義家族との付き合いには、目立ちにくい作業がたくさんあります。

帰省の日程を調整する。

義母からのLINEへ返信する。

誕生日を覚えておく。

贈り物を選ぶ。

法事や親戚の集まりの日程を確認する。

手土産を買う。

こうした一つひとつは小さく見えても、いつも同じ人が担当すると負担になります。

内閣府の男女共同参画白書では、家事・育児などの無償労働時間が女性側に偏っている社会的背景が長く指摘されています。

だからといって、すべての家庭で女性が義家族対応をしているという意味ではありません。

ただ、

「妻のほうが気が利くから」

「今までそうしてきたから」

「なんとなくそのほうが自然だから」

という理由だけで、一人の担当として固定されていないかは考えてみてもよいでしょう。

反対に、「夫の親なのだから全部夫がやるべき」と決める必要もありません。

大事なのは、

誰がやるべきかではなく、誰が何を担えば無理が少ないか

を夫婦・パートナーの間で考え直すことです。

義家族との問題と、配偶者との分担の問題を分けてみる

義母から毎回、自分のスマートフォンへ連絡が来る。

帰省の日程も自分が調整する。

贈り物も自分が用意する。

そんな状態で配偶者に相談したら、

「うちの親は悪気ないから」

「適当に返しておけばいいよ」

と言われる。

この場合、問題は義母の連絡頻度だけではありません。

なぜ自分が義家族との窓口になっているのか

という夫婦の分担にも関係しています。

「今後、お母さんとの日程調整はあなたがやってほしい」

「贈り物は今年から一緒に決めたい」

「義実家へ行くときの準備を、私一人でやるのはやめたい」

と、義家族に何かを伝える前に、夫婦の中で役割を調整できることもあります。

義家族との関係を良くするために、本人だけが調整役になる必要はありません。

実子である配偶者だからこそ話しやすいこともあります。

配偶者には、「あなたの家族が嫌」だけでなく、何が負担かを伝える

義家族について配偶者へ話すのは難しいことがあります。

「お母さんのことが苦手」

と言えば、

「自分の親を否定された」

と受け止められるかもしれません。

そこで、相手の家族全体を評価するよりも、具体的な負担を言葉にしてみる方法があります。

「帰省することそのものより、毎回2泊するのが疲れる」

「お母さんからの予定確認が全部私に来ることが負担になっている」

「贈り物をすることはいいけれど、毎回私だけが選んで準備するのはしんどい」

「将来の介護を、最初から私が中心にやるような話になるのが不安」

こうすると、「義家族が好きか嫌いか」という話から少し離れられます。

もちろん、伝え方を工夫すれば必ず理解してもらえるとは限りません。

それでも、配偶者が何を変えれば負担が減るのかを具体的に共有することは、役割分担を考える入口になります。

帰省は「行く・行かない」だけで決めなくていい

義実家への帰省が負担になっているとき、

「もう行かない」

か、

「今までどおり我慢する」

という二択になりがちです。

けれど、帰省にもいくつかの要素があります。

年に何回行くのか。

何時間滞在するのか。

泊まるのか、日帰りにするのか。

配偶者と一緒に行くのか。

全員で義実家へ集まる必要があるのか。

たとえば、これまで2泊していたところを1泊にする。

日帰りで会う。

義実家には泊まらず、近くの宿泊施設を利用する。

自宅と義実家の中間あたりで食事をする。

今回は配偶者だけが帰省する。

そんな方法もあります。

どれが正解というわけではありません。

「帰省するかどうか」だけではなく、どんな帰省なら自分も無理なく参加できるかを考えてみると選択肢が増えます。

連絡や贈り物、家族行事を一人の仕事にしなくてもいい

義家族との付き合いでは、目に見えない準備が積み重なります。

義母の誕生日が近づいたら贈り物を考える。

父の日が来る。

お中元やお歳暮をどうするか相談する。

親戚の法事の日程を確認する。

義実家への手土産を買う。

どれも一回だけなら、それほど大きな負担には見えないかもしれません。

でも、

「誰の誕生日がいつか覚えている」

「そろそろ準備しないと、と気にしている」

ことまで含めると、一人にとっては長く続く役割になります。

たとえば、

義両親への日常的な連絡は実子である配偶者が中心になる。

贈り物は一緒に決める。

法事や親戚行事の予定は、配偶者が確認する。

といった分け方もできます。

必ず50対50にする必要はありません。

家庭ごとに、得意なことや仕事の状況も違います。

ただ、「これまで自分がやってきたから」という理由だけで、ずっと一人で担い続ける必要はないでしょう。

義父母の介護を「自分がやること」と決めなくていい

義両親が元気なうちは、介護の話をする機会がほとんどないかもしれません。

それでも年齢を重ねる姿を見ると、

「もし介護が必要になったら、どうするんだろう」

と思うことがあります。

そこで、

「嫁だから」

「妻のほうが細かいことに気づくから」

「夫は仕事が忙しいから」

という理由だけで、自分が介護を担う前提にしなくて構いません。

厚生労働省の介護休業制度では、対象家族に「配偶者の父母」が含まれています。制度の対象は男女の労働者です。

また、介護休業は、その期間中に本人が介護へ専念するためだけの制度ではありません。

介護サービスについて相談する。

ケアマネジャーなどと今後を考える。

家族内で誰が何を担うか決める。

利用できるサービスを探す。

そうした仕事と介護を両立する体制を整えるための期間として厚生労働省は案内しています。

つまり、

「義父母の介護が必要になったら、家族の誰か一人が直接すべてをする」

という前提で考えなくてもよいのです。

介護が始まる前に、夫婦で少し話しておく方法もある

介護の話は、まだ義両親が元気なうちには切り出しにくいものです。

「縁起でもない」

と感じることもあるでしょう。

けれど、介護が必要になってから初めて、

「誰が病院へ付き添う?」

「誰がケアマネジャーと話す?」

「仕事はどうする?」

「義きょうだいにはどう相談する?」

と決めると、目の前の対応に追われやすくなります。

今すべてを決める必要はありません。

ただ、

「もし親に介護が必要になったら、私は自分一人が担当する形にはしたくない」

「まずあなたときょうだいで話してほしい」

「仕事を辞める前提では考えたくない」

と、自分の希望を配偶者へ伝えておくことはできます。

介護に直面したときには、地域包括支援センターという相談先もあります。

地域包括支援センターはすべての市町村に設置されている介護の総合相談窓口で、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが相談に応じています。

「家族だけで何とかする」以外の選択肢を、介護が始まる前から知っておくことはできます。

義家族へ直接本音を伝えることが、いつも正解ではない

義母からの連絡が多いとき、

「直接、もう少し減らしてほしいと言ったほうがいいのかな」

と迷うことがあります。

本人と義家族の関係が比較的良く、直接伝えるほうが自然な場合もあります。

一方で、

「今後、予定の連絡は○○さんに送ってもらえると助かります」

と配偶者から伝えてもらう方法もあります。

義実家への帰省回数についても、

夫婦で方針を決めたうえで、実子である配偶者から話してもらうことができるでしょう。

義家族との関係で、本人がすべての交渉役になる必要はありません。

本人が伝える。

配偶者が伝える。

二人で伝える。

どれが適しているかは関係によって変わります。

「義家族のことだから、自分が角の立たないように全部処理しなければ」と考えすぎなくてもよいのではないでしょうか。

距離を変えると、「感じの悪い人と思われるかも」と不安になる

これまで毎回参加していた家族行事を、一度断る。

義実家への宿泊をやめる。

義母からの連絡へ、配偶者から返信してもらうようにする。

そうすると、

「嫌われたかもしれない」

「感じが悪いと思われるかな」

と不安になることがあります。

人間関係ですから、相手がどう受け止めるかを気にするのは自然なことです。

だからといって、

相手から良く思われることを優先するあまり、自分だけがずっと無理をしていないかは考えてみてもよいでしょう。

義家族との穏やかな関係を続けることと、

すべての誘いに応じること。

毎回帰省すること。

家族行事を全部引き受けること。

将来の介護まで一人で担うこと。

は同じではありません。

少し距離を変えることで、会ったときには以前より落ち着いて話せるようになることもあります。

義家族ではなく、配偶者との関係そのものがつらい場合もある

義家族との問題だと思っていたけれど、よく考えると、

「配偶者がこちらの負担を取り合ってくれないこと」

に一番傷ついていた、という場合があります。

義実家へ行きたくないと伝えると強く怒られる。

「嫁なんだから親の介護をして当然だ」と一方的に決められる。

断ろうとすると威圧される。

お金や生活を強く制限される。

行動を監視される。

こうした問題は、通常の「義実家との付き合い方」とは分けて考えたほうがよいでしょう。

記事だけで「これはDVだ」と判断することはできません。

ただ、安全に不安を感じる場合に、

「夫婦なのだから、よく話し合いましょう」

だけで解決しようとする必要もありません。

内閣府のDV相談ナビ「#8008」では、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。DV相談+では、24時間の電話相談やチャット相談も案内されています。

義家族との距離を考える前に、自分の安全や生活そのものについて外部へ相談したほうがよい場合もあります。

泉の「義家族との距離」メモ

すぐに答えを出すためのチェックリストではありません。

今の負担がどこにあるのか、少し整理するために使ってみてください。

  • 義家族との付き合いで、今いちばん疲れていることは何?
  • 帰省そのものが負担? それとも回数、滞在時間、宿泊の仕方?
  • 義家族からの連絡は、なぜ自分が窓口になっている?
  • 贈り物や家族行事の予定を、自分一人が覚えていない?
  • 義家族との付き合いで、配偶者に担ってほしいことは何?
  • 「嫁だから」「妻だから」と思って引き受けていることはない?
  • 義両親の介護を、もう自分一人の役割だと思っていない?
  • 義家族との距離だけではなく、配偶者との関係に怖さや強い負担を感じていない?

全部に答えられなくても構いません。

「義実家へ行くことが嫌なのではなく、泊まることがつらかった」

「義母への不満というより、連絡を全部任せる配偶者への不満だった」

と分かるだけでも、考えるべき距離は少し変わってきます。

まとめ|義家族との距離は、夫婦で考えてもいい

義家族との付き合いに疲れたとき、

「家族になったのだから仲良くしなければ」

と無理をする必要も、

「嫌ならもう会わなければいい」

とすぐに関係を大きく変える必要もありません。

帰省の回数を少し減らす。

宿泊日数を短くする。

連絡の窓口を配偶者へ移す。

贈り物を一緒に決める。

家族行事へ毎回参加しない。

介護については、夫婦や義きょうだいだけでなく、制度や介護サービスも含めて考える。

できることはいくつかあります。

そしてもう一つ、

「これは本当に私一人が担当することなのだろうか」

と考えてみてください。

義家族との良い関係を築くことと、自分一人が義家族との調整役になることは同じではありません。

「私は義家族と、どのくらいの距離なら無理なく付き合える?」

「そのために、配偶者と何を分担できる?」

この二つを一緒に考えることで、義家族との付き合い方が少し見えやすくなることがあります。

今すぐすべてを決める必要はありません。

次の帰省。

次の連絡。

次の贈り物。

まず一つだけ、これまでとは違う分担や距離を試してみる。

そこから、自分たちの家庭に合う付き合い方を考えていくこともできます。

参考情報

確認日:2026年9月13日

内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和8年版」
仕事と生活の調和、男女双方の家庭生活への参画、仕事と介護の両立支援に関する現行施策を確認。
URL:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r08/zentai/index.html

内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和5年版|働き方や就業に関する意識の変遷、家事・育児等・働き方の現状と課題」
家事・育児等の無償労働時間が女性側へ偏ってきた社会的背景を確認。個々の家庭へ直接当てはめず、背景情報として参照。
URL:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r05/zentai/html/honpen/b1_s00_01.html

厚生労働省「介護休業制度特設サイト|介護休業」
介護休業の対象家族に配偶者の父母が含まれること、男女の労働者が対象であること、介護休業を仕事と介護を両立する体制づくりの期間として活用する考え方を確認。
URL:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/leave/

厚生労働省「家族介護に直面している方への支援を知りたい」
全市町村に設置されている地域包括支援センターが、介護に関する総合相談窓口であることを確認。
URL:https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/family-care/

内閣府男女共同参画局「DV相談について」
DV相談ナビ「#8008」および、24時間の電話相談やチャット相談を行うDV相談+の現行情報を確認。
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dv_navi/

J-STAGE「新婚期に親介護を行う中で母親となり介護と育児のダブルケアを行う女性の介護中断・継続に至るまでのプロセス」
新婚期から親介護を担った女性5人を対象とした2025年公表の質的研究として補助的に参照。調査規模や対象の限定性を踏まえ、義家族関係や40代女性全体へ一般化しない。
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jarfn/30/0/30_18/_article/-char/ja

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