仕事で疲れた夜、なんとなく求人サイトを開く。

「残業少なめ」「土日休み」「経験を活かせます」

そんな言葉を眺めていると、

「転職したほうがいいのかもしれない」

という気持ちが少し強くなる。

今の会社より良さそうな求人を見つければ、気持ちが軽くなることもあるでしょう。

ところが翌朝になると、

「本当に辞めていいのかな」

「40代になってから新しい職場でやっていける?」

「今より給与が下がったらどうしよう」

「転職しても、また同じことで悩むのでは」

と不安になる。

転職を考え始めると、「する・しない」の二択で答えを出したくなります。

けれど、まだ決めなくても構いません。

まず考えてみたいのは、

「私は、今の職場の何から離れたいのだろう」

ということです。

人間関係。

給与。

勤務時間。

通勤。

仕事内容。

会社の将来。

家庭との両立。

理由によっては、転職が大きな変化につながることがあります。

一方で、会社を変えるだけでは解決しにくいこともあるでしょう。

転職するかどうかを決める前に、今の職場を離れたい理由と、次の働き方で変えたいことをつなげて考えてみます。

「転職したい」と「今の職場を離れたい」は同じだろうか

「転職したい」

と思っているとき、実際には、

「今の上司から離れたい」

「この長時間労働を終わらせたい」

「もっと給与がほしい」

「通勤だけで毎日疲れる」

という気持ちかもしれません。

あるいは、

「この仕事そのものをもう続けたくない」

と感じている場合もあります。

2025年の厚生労働省「雇用動向調査」を見ると、転職した人が前職を辞めた理由は一つではありません。

女性では、「その他の個人的理由」を除くと、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.9%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.5%でした。ほかにも、給与、仕事内容、会社の将来への不安など、いくつもの理由があります。

もちろん、

「女性は人間関係で転職する」

という意味ではありません。

大切なのは、転職を考える理由は人によって違い、同じ人の中にも複数の理由が重なることがあるということです。

「転職したい」の一言を少し細かくしてみると、自分が本当に変えたいものが見えてきます。

人間関係が理由で転職するのは「逃げ」なのか

「人間関係くらいで転職していいのかな」

と迷う人もいます。

上司との関係がつらい。

同僚との空気が合わない。

職場で自分だけ浮いているように感じる。

そうした状況が毎日続けば、仕事そのものまで嫌になってくることがあります。

人間関係を理由に転職を考えることを、ひとまとめに「逃げ」と考える必要はありません。

ただ、

「人間関係が嫌だから転職」

だけで終わらせず、

何がつらかったのか

をもう少し具体的にしておくと、次の職場を選びやすくなります。

特定の上司との関係なのか。

会社全体のコミュニケーションの取り方なのか。

競争の強い職場風土なのか。

顧客対応そのものが負担なのか。

人と関わる仕事全般に疲れているのか。

同じ「人間関係」でも違います。

会社を変えれば解決する部分もあれば、仕事内容そのものを見直したほうがよい場合もあるでしょう。

給与を上げたいなら、「転職すれば上がる」とは考えすぎない

給与への不満から転職を考えることも自然です。

物価が上がった。

仕事量は増えたのに給与は変わらない。

昇給の見通しがない。

これからの生活を考えると、もう少し収入が必要。

そんな事情もあります。

では、転職すれば給与は上がるのでしょうか。

2025年の雇用動向調査では、転職入職者のうち、前職より賃金が増えた人は40.8%、減った人は31.0%、変わらなかった人は25.5%でした。

40~44歳では増加44.9%、減少27.4%。45~49歳では増加41.1%、減少30.1%となっています。

数字だけを見ると「増えた人のほうが多い」と感じます。

ただし、これはすでに転職した人を集計した結果です。

「40代で転職すれば約4割の確率で給与が上がる」

という意味ではありません。

職種、経験、地域、雇用形態、転職前の給与水準などが違うからです。

さらに、働く条件は給与だけではありません。

年収は少し下がっても、残業が大きく減れば納得できる人もいます。

給与を上げることを優先し、通勤時間は多少長くてもよい人もいるでしょう。

「条件が良くなる」とは、自分にとって何が良くなることなのか。

そこから考えます。

勤務時間を変えたいなら、次の職場でもそこを中心に見る

今の職場を辞めたい理由が、

毎日の残業。

休日出勤。

夜勤。

不規則なシフト。

であるなら、次の職場を探すときも勤務時間が重要になります。

ところが求人を見始めると、

会社名。

給与。

仕事内容。

福利厚生。

と、別の条件へ目が移りやすくなります。

転職活動を始めた理由が「時間」だったのに、給与だけで転職先を選べば、また時間の問題に悩むかもしれません。

求人票では、

所定労働時間。

休日。

勤務形態。

勤務地。

在宅勤務の有無。

などを確認できます。

もちろん、求人票だけで職場のすべてが分かるわけではありません。

面接で質問できることもありますし、内定時には労働条件を改めて確認することになります。

今の職場を離れたい理由を、次の職場を見るときにも忘れない。

シンプルですが、転職先を考えるうえで大事な視点です。

今の「会社」を変えたいのか、「仕事」を変えたいのか

転職といっても、いくつかの形があります。

同じ仕事を別の会社でする。

これまでの経験を活かしながら、少し違う職種へ移る。

まったく違う仕事に挑戦する。

どれも転職です。

たとえば営業職で働いていて、

「営業をもう辞めたい」

と思っている。

でも振り返ると、新規開拓は苦手でも、お客様の話を聞いて長く関係を作る仕事は好きだった。

そうであれば、これまでの経験を生かせる別の仕事があるかもしれません。

反対に、

「会社が変わっても、この仕事内容を続けること自体がつらい」

と感じる場合もあります。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」には、これまで経験した職業から自分の「しごと能力」プロフィールを作り、希望する職業との違いを見る「キャリア分析」があります。

結果が「この職業なら成功する」と保証してくれるものではありません。

それでも、

自分がこれまで何を身につけてきたのか

を考えるきっかけにはなります。

「40代だから転職は無理」と、年齢だけで決めなくていい

40代で転職を考えると、

「20代や30代前半とは違う」

という不安が出てきます。

確かに、転職の条件は年齢によっても変わることがあります。

一方、

「40代になったら転職できない」

と一線を引けるものでもありません。

2025年の雇用動向調査では、30代・40代にも実際の転職入職者がいます。

さらに、25~59歳の各年齢階級では、女性の転職入職率が男性を上回っていました。

ただし、これも、

「40代女性は転職しやすい」

という意味ではありません。

転職入職率は、実際に転職した人の動きを表す統計です。

自分が希望する、

職種。

勤務地。

給与。

勤務時間。

雇用形態。

で仕事が見つかるかどうかは別に考える必要があります。

だから、

「40代だから無理」でも、「40代でも大丈夫」でもなく、自分の条件で実際にどんな選択肢があるのかを見る。

そのほうが現実的です。

有効求人倍率1.18倍でも、「私は転職できる」とは言えない

2026年7月の有効求人倍率は1.18倍でした。

新規求人倍率は2.10倍、正社員有効求人倍率は1.00倍です。

同じ2026年7月の完全失業率は2.4%でした。

こうした数字を見ると、

「人手不足だから転職しやすいのでは」

と思うことがあります。

ただ、有効求人倍率は全国のハローワークにおける求人と求職の状況を表す指標です。

すべての職種で求人が同じだけあるわけではありません。

地域による差もあります。

厚生労働省の2026年7月資料でも、有効求人倍率は地域によって差があります。

さらに、

「求人がある」

ことと、

「自分が希望する給与や仕事内容の求人がある」

ことも違います。

雇用統計は、今の労働市場を知る背景にはなる。でも、自分の転職の答えにはならない。

このくらいの距離で見るのがよいでしょう。

転職後の「良かった」を、年収だけにしなくてもいい

転職した人へ、

「年収は上がった?」

と聞くことがあります。

もちろん、お金は大切です。

でも転職で変えたいことは、人によって違います。

残業を減らしたい。

通勤を短くしたい。

土日に休みたい。

もっと専門的な仕事をしたい。

管理職から離れたい。

反対に、もっと責任のある仕事へ挑戦したい。

在宅勤務を増やしたい。

家庭との時間を取りやすくしたい。

これらも働き方の条件です。

たとえば、

「今より50万円年収が上がる会社」

と、

「年収はほぼ変わらないけれど、毎日の通勤が1時間短くなる会社」

のどちらがよいか。

答えは人によって違います。

私は何が変わったら、「転職してよかった」と感じそう?

ここを考えておくと、求人を見る目も少し変わります。

今の職場の「残したいところ」も、転職先を選ぶヒントになる

転職を考えているときは、今の会社の嫌なところに目が向きます。

それでも、

今の会社で気に入っているところはあるでしょうか。

休みを取りやすい。

勤務地が便利。

一部の仕事内容は好き。

給与が安定している。

同僚との関係は悪くない。

福利厚生が使いやすい。

裁量を持って仕事ができる。

もしあれば、それは「転職をやめる理由」として使う必要はありません。

むしろ、

次の職場でも失いたくない条件

として使えます。

転職してから、

「以前は当たり前だったけれど、私にはかなり大事だった」

と分かることもあります。

辞めたい理由だけでなく、残したい条件も知っておく。

それが、自分に合う求人を探す材料になります。

「転職すれば全部変わる」と期待しすぎなくてもいい

今の職場がつらいと、

「会社さえ変われば全部うまくいく」

と思いたくなることがあります。

実際、会社を変えることで大きく変わることもあります。

上司が変わる。

勤務時間が変わる。

給与制度が変わる。

通勤が変わる。

仕事内容が変わる。

一方で、会社が変わっても残るものもあります。

人と働けば意見の違いは起こります。

忙しい時期がある会社も多いでしょう。

自分が苦手とする業務が、同じ職種なら次の会社にもあるかもしれません。

だからといって、

「どこへ行っても同じだから転職しても無駄」

という話ではありません。

転職で変わりそうなことと、会社を変えるだけでは変わらなそうなことを分ける。

そうすると、転職に期待するものが現実的になります。

「私には何のスキルもない」と思ったとき

長く同じ会社で働いている人ほど、

「この会社では仕事ができるけれど、外へ出たら何もできない」

と思うことがあります。

資格もない。

専門職でもない。

だから転職できない。

そんなふうに感じることもあるでしょう。

でも、仕事で身につくものは資格だけではありません。

お客様との調整。

スケジュール管理。

資料作成。

新人への説明。

トラブル対応。

社内調整。

業務改善。

毎日の仕事として当たり前に行っていることは、自分では能力と感じにくいものです。

厚生労働省の「ジョブ・カード」は、職業経験の棚卸しや今後のキャリア・プランニング、職業能力の見える化などに活用するためのツールです。

職務経歴を書く中で、

「そういえば、私はこれを何年もやってきた」

と気づくこともあります。

「何もない」と結論を出す前に、これまでしてきたことを一度外へ出してみる。

転職するかどうかに関係なく、自分のキャリアを考える材料になります。

転職すると決める前に、求人を見てみてもいい

「まだ転職すると決めていないのに、求人を見るのは早いかな」

と思う必要はありません。

求人を見る。

希望する職業について調べる。

自分のスキルを整理する。

キャリア相談を受ける。

これらは、転職の決定とは別です。

厚生労働省の「みんなの労働ナビ」では、job tagやジョブ・カードに加えて、無料で利用できるキャリアコンサルティングなども紹介しています。

実際に調べてみた結果、

「思っていた仕事とは違った」

と分かるかもしれません。

「自分の経験なら、こんな仕事も候補になるのか」

と気づく場合もあります。

あるいは、

「条件を比較したら、今の会社に残るほうが今は合っている」

と思うこともあるでしょう。

転職すると決めてから調べるのではなく、調べた結果を見て転職するか考える。

そんな順番でも構いません。

転職エージェントや求人サイトの言葉も、一つの情報として受け取る

民間の求人サイトや転職エージェントを利用する方法もあります。

求人を探しやすくなったり、自分では見つけられなかった企業を紹介されたりすることもあるでしょう。

一方、

「今なら転職しやすいです」

「あなたの市場価値は高いです」

「この条件ならすぐ決まります」

と言われたとしても、その言葉だけで転職を決める必要はありません。

サービスによって扱っている求人も違います。

紹介できる職種や企業にも違いがあります。

一つのサービスで紹介が少なかったからといって、

「自分には市場価値がない」

と決める必要もありません。

転職サービスから得られる情報も使いながら、

自分は何を変えたくて、何を残したいのか

へ戻ります。

「今より全部よい会社」を探すと、動けなくなることもある

転職するなら、

給与を上げたい。

残業を減らしたい。

休日も増やしたい。

通勤も短くしたい。

仕事内容も面白くしたい。

人間関係もよいところがいい。

そう思うのは自然です。

ただ、すべてが今より良くなる会社だけを探すと、選択肢がかなり狭くなることがあります。

そこで、

「何を妥協するか」

から考えるのではなく、

「今の私は、特に何を変えたい?」

と考えてみます。

今は給与。

今は時間。

今は仕事内容。

ライフステージが変われば、優先したいことも変わるでしょう。

一生同じ基準で働く必要はありません。

調べた結果、「今は転職しない」になってもいい

転職を考え始めた。

求人も見た。

自分の経験も整理した。

その結果、

「今は残ろう」

と思うこともあります。

それは、

転職する勇気がなかった。

という意味ではありません。

今の会社で経験をもう少し積む。

希望する職種に必要なスキルを学ぶ。

家庭の状況が変わってから動く。

今の職場で配置や働き方を変えられないか試す。

いろいろな選択があります。

反対に、調べれば調べるほど、

「やはり今の会社を離れたい」

という気持ちがはっきりすることもあります。

情報を集めることは、転職すると約束することではありません。

残るためにも、転職するためにも、調べてよい。

そう考えると、最初の一歩は少し小さくなります。

占いに「転職したら成功する?」の答えを決めてもらわない

転職には、分からないことがたくさんあります。

新しい職場の人間関係。

仕事との相性。

数年後のキャリア。

「転職してよかった」と思えるのか。

だから、

「今年は転職運がありますか?」

「今の会社を辞めたほうがいいですか?」

「この会社へ転職すれば成功しますか?」

と聞きたくなることもあります。

占いを利用するなら、

「私は今の職場の何が一番嫌?」

「次の仕事では何を変えたい?」

「給与と時間なら、今の私はどちらをより大切にしたい?」

と、自分の気持ちを整理するために使う方法があります。

転職先の給与や勤務条件は求人情報で確認する。

雇用情勢は公的統計を見る。

キャリアについて迷えば相談先を利用する。

占いで未来を保証してもらうのではなく、自分が何を選びたいのかを考える材料の一つにする。

それが「わたしの泉」で考える占いとの距離です。

泉の「転職するか迷ったとき」メモ

これは、転職すべきかを判定するチェックリストではありません。

今の職場と次の働き方をつなげて考えるためのメモです。

  • 今の職場を離れたい一番の理由は何?
  • その理由は、会社を変えれば変わりそう?
  • 今の職場の中で、次の会社でも残したいところは何?
  • 給与・勤務時間・通勤・仕事内容の中で、今一番変えたいことは何?
  • これまでの仕事で、別の職場でも使えそうな経験は何?
  • 転職しても残りそうな悩みはある?
  • 一年後、どんな働き方をしていたら今より納得できそう?
  • 求人を調べた結果、「今は転職しない」という答えになってもよいと思える?

すべてに答える必要はありません。

「人間関係が嫌だと思っていたけれど、実は残業を一番変えたかった」

と分かるだけでも、見る求人は変わってきます。

反対に、

「今の会社の問題というより、この仕事自体を続けたくなかった」

と気づくこともあるでしょう。

その気づきから、次の選択肢を探していきます。

まとめ|「転職したほうがいい?」より、「何を変えたい?」から考える

転職を考え始めると、

「この年齢でも転職できる?」

「年収は上がる?」

「今より良い会社へ行ける?」

と、未来の結果を知りたくなります。

でも、求人倍率も転職率も、一人ひとりの答えまでは教えてくれません。

30代・40代でも実際に転職している人はいます。

賃金が上がる人も、下がる人もいます。

転職して働き方が大きく変わる人もいれば、思っていたほど変わらない人もいるでしょう。

だからこそ、

「転職したほうがいい?」

という問いだけで決めようとせず、

「私は今の職場の何から離れたい?」

「次の働き方では、何を変えたい?」

と考えてみます。

その答えが少し見えてきたら、実際に求人を調べる。

自分の経験を棚卸しする。

相談してみる。

そして、調べた結果を見てから、転職するかを考えても遅くありません。

転職は目的ではなく、今の働き方から、自分が望む働き方へ近づくための方法の一つです。

参考情報

確認日:2026年9月13日

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75707.html

総務省統計局「労働力調査(基本集計)2026年7月分結果」
URL:https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/

厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概要」
URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/index.html

厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)|キャリア分析」
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/Career/Step1

厚生労働省「マイジョブ・カード|ジョブ・カードを知る」
URL:https://www.job-card.mhlw.go.jp/guidance/know

厚生労働省「みんなの労働ナビ|キャリアを見直したい」
URL:https://www.mhlw.go.jp/roudou-navi/jobseeker/07.html

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